海産物や魚介類にもっと目を向けよう

私たちが何をどう食べて生きるかは、とても大きな問題です。

男性の平均寿命をかうに70歳とすれば、70年間に欠かさず三食を食べたとしても、食事をとる回数は全部で7万6650回しかありません。いま35歳だとすれば、すでに半分を使い切う、今後に食事をとる回数は4万回も残されていないということになります。

いうまでもなく、人間にとって食べることは生きる喜びです。

にもかかわらず、満足のいかない食事によって、与えられた有限のチャンスを無駄にするとしたら、それは貧しい人生です。

人は生きるために食べなくてはならないのですから、バリバリ働いて、おいしいもの、身体にいいもの、元気が出るものを心から愉快に食べるべきなのです。

人間の長い歩みを考えれば、私たちがいまのように豊富な食材に囲まれていられるのは、おそらく歴史の中の一瞬のことです。いずれは気候の変化や化学汚染の影響で、当たり前に手に入れることのできたものが、手に入らなくなる日がくるかもしれません。

しかし、たとえたんぼく源は昆虫のみという世界になったとしても、人間はバリバリ働いて、そのとき目の前にある食べ物を愉快に楽しく食べていけばいいと私は思います。

それが進化というものであり、未来に向かって歩むことであり、なおかつ食に対する正常な感覚だからです。

幼いころ、料理店の水槽にいるナマコを見て、その音にこれを世界ではじめて食べた人はどんな人だったんだろうかと不思議に思った記憶があります。姿はグロテスクで、とても食べ物には見えません。味にしても食感にしても、きっとよくなかったことでしょう。

それでも誰かが最初に食べ、それを見た次の人が食べ、どんどん食べる人が出てくるわけです。

そして、おいしく食べる調理法が考案され、時代が下ったいまでは、当たり前の食材として提供されるようになっています。

きっと人間の長い歴史の中には、消えた食材というものがたくさんあるはずです。歴史の中で食べ物も新陳代謝を起こし、古いものは消え、新しいものが生み出されてきたのだと思います。

そうやって考えると、人間はどんなときも、おいしいもの、身体にいいもの、元気が出るものを発見しながら、さまざまな困難を乗り越えてきたことがわかるような気がします。

そして、人間は、今後もそうした歩みをつづけていくわけです。

人間は、もともと海の中で生活していた生物が進化し、陸地に上がっていまの姿になったといわれています。

その意味では、海のものを食べることは、とても大切なことではないかと思います。とくに、日本人は、獣よりも魚をたんぱく源にしてきた民族ですから、海のものは身体によく合っているはずです

欧米風の食生活に慣れた若い世代は、どちらかというと肉を好んで食べます。たしかに、肉食が主体になって以来、日本人の体格は向上したように見えます。

しかし、その一方で、欧米風の食事が盛んになって以来、アトピーやうつといった問題が顕著になりました。

アトピーやうつが欧米風の食事に起因しているわけではありませんが、こうした食生活の一大変化が、プラスとマイナスの両面で、私たちの身体に影響をもたらしていることは疑いないことです

私にいえるのは、やはリバランスのいい食事を心がけることです。

バランスには、栄養バランスもありますが、食材のバランスもあります。陸のものも、海のものも、どちらもよく食べれば、それだけで摂取できる栄養素のバランスもよくなります。

とくに海産物や魚介類は、ビタミンやミネラルが豊富です。なぜかといえば、生命が海から生まれたことが示唆するように、海はビタミンやミネラルなどの宝庫だからです。

海の食材があまり好きではない人も、この本を読んでくださったことをきっかけに、海産物や魚介類にぜひ目を向けていただきたいものです。

男性のビジネスマンはほとんど関心を向けたことがないと思いますが、デパ地下や魚市場に行くと、想像以上に多種類の魚介や海産物の加工品が販売されています。

食べたことも見たこともない食品がたくさんありますから、 一度見に行くといいのではないかと思います。自分の知らない食材がこんなにあると気づくだけでも、食に対する感覚は変化すると思います。

おいしい食材、身体にいい食材、元気が出る食材は、実は世の中に沿れるほどあり、私たちはそのほんの一部分を知っているにすぎません。